こんにちは!
新人・若手現場監督の教育・育成について
日々研究の藤原です。
どこまで行けるか、確かめる方法は唯一つ。
すぐにでも出発して、歩き始めることだ。
アンリ・ベリクソン フランスの哲学者
やり出してみると、その過程で成長
することだってあります。
意外と遠くまで行けるかもしれない、
歩きだせば・・・。
はい、今回は施工テーマです。
RC造の壁スリーブを取り上げます。
集合住宅のバルコニー側の壁。
いくつものスリーブ(穴)が
ありますよね。
クーラー用、換気口・・・
今回の提言は、
若手現場監督に教えたい!壁スリーブの管理は、チェックだけではダメ!?
です。
どういうことなのか・・・
ボイドや塩ビパイプが
忘れず入ってるなー
それだけではダメなんです。
設置の有無の確認だけでは不十分なんです。
ほんとに必要なのは、
構造的なチェック!
です。
そして、構造的に不備がないように
するためには、
現場で問題なく施工できるよう
事前の周知が必要!
なんです。
後からチェックするだけでは
うまくいかないんですね。
それでは、
詳しく書いていきます。
壁スリーブの種類や状況
集合住宅で考えた場合、
バルコニーに面した壁に、
いくつか必要な開口(穴)が
設けられます。
まず、エアコンの冷媒管やドレン管など、
室内機と室外機をつなぐ配管用の穴
直径75mmが多いですね。
そして、
換気用レジスターの穴
壁の上下にセットで設けたりします。
直径100mmとか125mmとか。
そういうスリーブが、
複数個、バルコニー面の壁に
あるわけですね。
これが、開口のない広い壁だったら、
問題はありません。
しかし、
バルコニー側は、
掃き出しサッシが、ドーンとありますよね。
袖壁やサッシとサッシの間の小壁。
最近はサッシも目一杯大きくしてるので、
残った壁は、それぞれ20cmとか30cmの
幅しかないときもあります。
そういう幅のせまい壁に、
いくつもスリーブを設置する
状況なんですね。
今や、後から穴を開けるのはほぼ無理
コンクリートを打設して、
もう躯体ができた状態。
その時点でスリーブ忘れがあったら・・・
昔は、
コアを抜くといって、
削孔機械で開けてました。
でも鉄筋を切断してまうので、
構造上問題があるわけです。
そういう理由から、
現在コアを使って、後から
スリーブを開けるのは、ほぼ無理ですね。
だから、
スリーブの入れ忘れがないかは、
重要なチェックです。
ただし、
スリーブが、あるか、ないか、
そういう単純な話ではないってことなんですね。
そもそもスリーブが納まるのか?
さきほど書いたように、
20cmや30cmの壁幅に
いくつものスリーブを設置する。
しかも電気のコンセントボックスも
そこに加わってきます。
そこで必要なのは、
事前の検討です。
躯体図に反映する前に、
スリーブの配置を検討する。
鉄筋が通るのか?
カブリが確保できるのか?
意匠の設計者だけでなく、
構造設計的にもOKなのか、
現場としては確認が必要です。
でないと、あとから配筋検査で
ダメ出しされても、
どうしようもないからです。
計画時点で、こういう納まりである!
問題ないですね、と認識させておく
必要があるんです。
そうこうして、
図面上は、なんとか納めることが
できたとします。
現場で大切なのは、
本当はここからなんです。
型枠大工・鉄筋工に周知させる
この現場で実際に施工する、
職方さんたちに、
スリーブに関する重要点について、
周知されないことが非常に多いです。
躯体図では明記されてます。
だから、うまくやってくれる・・・
そんなわけないんです!
まず、鉄筋工は、
スリーブなんて存在しないがごとく、
壁を配筋します。
そして、スリ-ブを設置するのは、
型枠大工さんなんですが、
まあ、鉄筋をハンマーでたたきまくって、
強引に設置します。
大工さんにしたら、
なんで、スリーブのところに
鉄筋があるんだ!
という感じですよね。
結果、
スリーブ周りは、無筋状態、
もしくは、スリーブに鉄筋が密着状態。
そういう状態でコンクリートが
打設されてしまうんです。
じゃあ、どうするんだ?
ということですよね。
これは、
最初のフロアーで、
型枠大工・鉄筋工、両者に、
しっかり説明して、
特に、鉄筋工には、
スリーブを逃げた壁配筋をさせる。
必要なら、補強筋も配置させる。
最初はめんどくさがりますが、
配筋検査で厳しく指導されると
説得するしかありません。
大事なのは、両者に
きちんとスリーブ周りの構造を確保しないと
大きな問題になる・・と
何回も伝えることです。
躯体図渡しただけで、
スリーブ周りがぐちゃっとなった施工を
その都度注意しても、
まったく改善されません。
とにかく、最初から何回も、
「これはとても重要なことなんだ!」と
毅然とした態度で、言い続けることです。
壁スリーブの管理は、チェックだけではダメ
集合住宅で、多くみられる
壁のスリーブ(穴)。
もともと納まりが厳しい条件のところに、
複数個設置されています。
現場監督が気をつけないといけないのは、
この壁スリーブの管理は、チェックだけではダメってことです。
必要な個数で必要な位置に
設置されている・・・その確認だけでは
不十分です。
まず、
せまい幅の壁に、
複数個のスリーブが構造的に問題なく
納まるのか?
意匠設計にも構造設計にも
確認しておく必要があります。
そして、
最も重要なのが、
うまく納まるよう施工するために、
型枠大工・鉄筋工に、事前にしっかり周知する!
ことが大切です。
躯体図を渡すだけで、なんの説明もなければ、
ぐちゃぐちゃの納まりでコンクリートを
打設することになってしまいます。
「適切な納まりが構造的に
非常に重要だ!」
と、十分な説明をして、
どういう手順、納め方がいいのか、
具体的に、しっかり伝える。
しっかり言えば、
めんどうでも、答えてくれます。
この手間を
現場監督がめんどくさがらないよう、
気をつけましょう!
今回も読んでいただき、
ありがとうございました。
アーキラーニングは、若手現場監督の育成支援を通じて、
建設業の未来を切り開きます。