型枠工事の敷桟って何?

こんにちは!
アーキラーニングの藤原です。

新人・若手現場監督を戦力化するための、
講座・研修を行っています。

今日は躯体工事の型枠工事、その中でも
【敷桟】という作業についてお話ししたいと思います。

まず敷く(しく)に桟木(さんぎ)で敷桟。
つまり桟木を敷いていく作業ですね。

桟木っていうのは
断面が長方形で、厚みが25mmから30mmくらい。
幅がだいたい50から60mm。



こういう細長い
材木を墨に合わせて固定していきます。

でなぜこれを行うのか?

例えば、
コンクリートの上に直に型枠を立てればいいんじゃないかと、
考えるかもしれませんが、

このコンクリート、実際には
左官屋さんが均すときに水平を狙って押さえていくんですが、
表面は微妙に凸凹がある状態です。

ちょっとね極端に書くとこうなっているわけですね

例えばここが3mm上がってる、ここは-5mmで,
またここは5mm高い・・・
という感じで少しずつ表面に凹凸が付いているわけです。
これを「不陸(ふりく」があるという風にいいます。

陸(りく)という漢字ですが、建築ではよく出てくる漢字です。
「ろく」いう時もあります。
例えば壁面に水平のレベル墨を出すときは、
ろく墨って言いますが、この陸という字は
水平っていう意味があって、それが不(ふ)がついて
水平にあらずということです。

極端に言うとデコボコ状態になっているということです。

このデコボコの上に直に型枠をドンと乗せて
立てるとどうなるかというと
極端に書きますよね。


垂直に立たない。
斜めにこっち向いた、あっち向いた、というようなな状態に
なってしまいます。
これを一枚ずつ調整してまっすぐにして、
この隣のパネルも垂直に立つようにして
さらに横のパネルもまっすぐにしてと・・・

しかもこの頭が水平になるように
合わせていくっていうのはかなり大変な作業なります。
1枚2枚の方がパネルだったらいいんです。けども
ひとつのフロアーで何十枚何百枚という型枠パネルを立てていくのに

いちいちこんなことやってたらものすごい
時間と手間がかかってしまう。
大工さんにしたらそんなことやってたら割に合わないわけですね。
決まった金額で型枠工事を請け負っているなかで、
これだけに労力を割いてしまうわけにはいかないし
精度も当然確保できないということになります。


じゃあこのままやらずにどうやってやるんだということですね。
そこで「敷桟」という作業が出てきます。
デコボコのところに水平面を作って、
その上に型枠を立てましょうということですね。

この水平面を作る作業が敷桟という作業になります。
具体的には、
墨に合わせて(添わせて)桟木を固定するんですが、
その天端高さを仮に基準から40mm上がりに設定します。

だいたい過去40mmっていうのが多かったのですが、
この桟木の材料の厚み(25~30mm)から。
40mmが設定しやすいのかなと思います。
この桟木とコンクリートの間に隙間が空きますよね。

ここに2mmとか3mmの薄ベニヤをかますわけです。
桟木の幅が50とか60mmなので、それぐらいの大きさに
カットしておいたものを挟み込んで高さ調整をしていくんですね。

この高さは場所によってまちまちなので
どうやって測っていくかというと
この上に水糸を張り巡らすわけです。

コンクリートスラブの上に、柱や壁の差し筋が
ニョキニョキ出てるんですが、
その鉄筋にレベルで測定して、基準高さから
300mmとか400mm上がりににポイントをつけて、
何箇所かポイントをつけたところに水糸を張り巡らすんです。

その糸からコンクリートスラブまでの高さを
スケールで測ります。(1mとか2mおき)

精度がよければ400mmという測定値になりますが、
例えば403っていう数字だったとします
ということは、その地点は3mm低いいうことですよね。
なのでその場所は3mm のパッキンをかませるいうことになりますが、
実際には+40mm設定で、厚さ30mmの桟木があるので、
13mmのパッキンをかますことになります。

この作業を何十カ所も最初にやるわけですが。
けっこうな手間になります。
でも精度を確保するためには必要な作業ですし、
逆に直に型枠を立てて、あっちこっち向いたパネルを
まっすぐに1枚ずつ精度を合わせていくという手間を考えると
はるかに時間が短縮できるし、精度も確保しやすいということです。

ですのでこの「敷桟」という作業が行われるということですね。
この敷桟のやり方は、いろいろ会社や大工さんによって
いろいろあります。
例えば最初にベニヤ(12mm)を打っておいて、
その上に桟木を載せるんですが、ベニヤと桟木の間で高さ調整の
パッキン(薄ベニヤ)をかませる方法。

別のやり方は、直に桟木を打ってしまって、
そこに乗せる型枠パネルの下にパッキンをかませるとか。

これは会社や大工さんでまちまちです。
最初に説明したやり方だと、コンクリート打設のときに、
ノロがけっこう漏れてきます。
防止する方法としては、L形のノロ止め製品を使う手もありますが、
ちょっとお金がかかるので省略してしまうことも多いですね。


という感じで、いくつかやり方はありますが、
基本的にはこの天端の高さを、決められた設定の高さに
水平にセットして、型枠パネルを速く精度よく立てるための作業、
それが「敷桟」
ということです。

この敷桟作業を何のためにやるのかというのをわかっていれば
「ちょっと監督さんレベルの相番ついてよ」と言われたときに
新人監督は(いったい僕は何のためのレベルを見てるんだ?)
ということが理解できるということですね。

今回も読んでいただき、ありがとうございました。

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