建築現場の図面、まず設計図

建築現場で使用する図面は、設計図と施工図です。

設計図は、かんたんに言えば施主(建物の依頼者)の
要望をもとに設計士が諸条件をクリアしてまとめたものです。

施工図は設計図をもとにして、実際に建物を建てられる
ようリアルに再構成したものです。

設計図は基本的には4つの項目から構成されています。

1.意匠図
2.構造図   
3.電気設備図
4.機械設備図     1と2で建築図、3と4で設備図といった分類をすることもあります。

1.意匠図

建物の平面、立面、断面等の基本図面や各部分の詳細図、納まり図等の付属図面、
仕上表や仕様など、いわばデザイン的な要素が多くを占めています。

建物が完成した際に、表面に現れてくる部分についてまとめてあります。

設計者の意図や思惑が詰まっていますので、こだわりが強い場合は、変更がまったく
できず、現場が苦労することもあります。

また意匠図では具体的な施工方法まで考慮して描かれているとはかぎりません。

それは施工者が考えること、と平気で言ってくる設計者もいますので、意匠図は
参考図というぐらいの認識で、納まりを早め早めにチェックすることが必要です。

2.構造図

意匠図と同じように、平面や断面等の基本図はありますが、構造部材の表記のみとなっています。

建物を支持する杭や基礎、柱、梁、スラブなど構造部材の寸法や配筋仕様、コンクリートや鉄骨
等の構造用材料の仕様など、建築基準法に基づき厳密に計画された図面です。

構造設計は、意匠設計者と別のことも多く、意匠と構造の図面整合が取れていないことがあります。
意匠図優先と判断して構造担当者に確認せずに勝手にすすめると、とんでもない結果になります。

あくまで意匠は、構造的な裏付けのうえに成り立っているといことをまず認識しておかなければ
なりません。

後からの修正や是正が難しいので、意匠以上に事前の確認が必要です。

3.電気設備図

建物の機能を左右する部分です。外部から受電した電気をどのような系統で各場所へもっていくのか。

さまざまな機械を動かすための動力、照明やコンセント、放送設備や通信設備、自動火災報知設備等
建物が完成してから実際に運営・維持していくための設備です。

ただ現場では、ゼネコンの下にサブコンとして電気業者が入り、管理も含めて工事するので
建築の現場監督は、深い知識を持ち合わせていません。

4.機械設備図

こちらも建物の機能を決定する重要な図面です。

給排水、空調、換気、消火設備等、ある意味生命の安全に関連していると言えます。

一般に電気工事に対して設備工事と言ってる分野なのですが・・なぜ「機械」とつくのか?
これが最初気になりました。調べてみても・・・一向にわかりません。

電気設備と比較して、ポンプや空調機、ボイラーなど大型の機械(機器)を扱うため
機械設備ではないかと思いますが、

唯一それっぽい説明をみつけたので載せておきます。

建築関係で「機械」や「機械設備」の言葉が付くものは、
かつて木造建築だけだった時代から、金物(釘:くぎや鎹:かすがい)を、
全て「機械物」として称した名残です。
給排水管や空調設備などは、金属物扱いで、「機械」の名が付きます。

また、機械設備図も電気同様、深く理解できていないことがほとんどです。
建設会社に入社して数年は、まったく見てもいなかったように思います。

現場管理上は、意匠・構造だけでなく、電気・設備図を深く理解できれば理想です。
一方で、会社に電気・設備担当者がいるならまかせればいいという考えもあります。

まずは凡例など記号を少しずつ覚えて、電気・設備図を見てまったく何がなんやら
ということがないレベルに持っていくのが現実的だと思います。

アーキラーニングは若手現場監督の育成支援を通じて
建設業の未来を切り開きます。

 

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