新人・若手現場監督の安全意識を高めるのは、建設会社経営者の責務!

若手の安全意識を高めるのは経営者

建築現場で最も重要な管理、それは安全管理ですよね。
ところが最近、安全管理の重要性について理解不足
という新人・若手現場監督が増えてきてるんです


アーキラーニングの藤原です。

新人・若手現場監督を戦力化するための、
講座・研修を行っています。

SQDC(安全・品質・工期・原価)管理において
安全は、最も優先される重要な管理項目ですね。
他のそれぞれの項目も大切なのはもちろんですが、
その中でも安全が最重要だという理由があるんです。
その内容についてはこちら(SQDCの順番)

ベテランの現場監督はうすうす感じていると思います。
安全意識が薄らいでいる若手が増えてきていることに
この状況はかなりヤバイです。建設会社の土台を
揺るがすほどの危険な状況だと思いませんか?

この若手の安全意識の低下という現状を打破するために、
一番効果的な方法、なんだと思いますか?

まあタイトルでも書いてるのでバレバレですが。
若手の安全意識の向上に最も効果的な方法、それは
「建設会社の経営者自ら安全に対する考えを発信する」
ということなんです。

そんなのやってるよ・・・といわれる経営者も多いと
思いますが、くわしく見ていきましょう。

とりあえず安全・・・という現状

ひとつの物件、工事に専任で常駐する、またはせいぜい
2物件程度の管理であれば、じっくりと現場管理ができます。

現場の構成人数が最小限度で、そんなじっくりなんて理想だ・・
そんな声が聞こえてきそうですが、
ここは比較の話なので、その意見はちょっと置いといてくださいね。

で、これが5棟や6棟など、複数棟管理があたりまえという
戸建住宅の場合が問題なんです。

社内規定やマニュアルなどで決められている仮設設備、安全設備を、
とりあえず設置するわけですが・・・。
基本的に業者さんまかせとなります。なぜならずーっと立ち会って
じっくり管理する時間が物理的に確保できないからです。

だから、とりあえず安全のための設備は設置されてる、
決まりだからですね。
でも本来の目的・意味を満たしていない・・
その設備が安全確保に直結してないんです
取付位置であったり、向きであったり、組み合わせだったり・・・
何かしら不足している状態だったりするんですね。

危険の想定ができていない

事細かに確認する時間がないといっても、現場に行けば
やはり現場監督として安全設備の確認をするわけです。
そこで適正に設置されていない安全設備を目にしたとする。
ところが・・・気づかないんですね、不具合に。

例えば住宅の屋根工事で、墜落や転落防止のために
親綱や安全ブロックが設置してあるとします。
でも、親綱が遠すぎて安全帯を掛けに行くまでに危険な状態になったり、
安全ブロックのワイヤーを引出しに行く段階ですでに危険な状態になる・・・

こういう死角というか、安全設備を使う前の危険について
想像・想定ができない場合があるんですね。
とくに新人現場監督の場合ですが。

危険に気づかない理由

いまそこにある危機に気づけない。
現場監督としては致命的です。

ベテラン現場監督からすると、なぜ気づかない?
なぜそこに思いがいかない?
そう感じますよね。

この危険を感じ取る能力を「危険感受性」
いいます。

危険感受性とは、
何が危険か、どうなると危険な状態になるのかを直観的に把握し、
危害の程度・発生確率を敏感に感じ取る能力をいいます。
「厚生労働省 職場の安全サイト」より

で、最近新人・若手現場監督たちの「危険感受性」
低下しているんです。
そのために危険に気づかない、対処できないという
状況になっているわけです。

なぜ危険感受性が低下してしまったんでしょう?

大きな理由は、危険に遭遇する機会が激減したから。
ちょっと誤解を生むかもしれないので、
くわしく述べていきますね。

まず、いまの建築現場が完全安全状態というわけではありません。
さまざまな危険要素は依然として多くあります。
ただここで言う危険に遭遇する機会というのは、
例えば20年前30年前の建築現場と比較して・・ということです。

ヘルメットの着用や安全帯の着用も100%ではなかった時代。
目に見えて危険がいっぱいでしたよね。
夏場はTシャツやランニング姿の職人さん、
親綱なんてまったく使っていない・・
しょっちゅう注意喚起で叫んでました。

では今現在はどうでしょう?
夏場でも長袖を着ていますし、
ヘルメットや安全帯はほぼ100%の着用率。
親綱などは完全ではなくても監督の存在に
気が付けば(笑)使ってます。

法改正によって規制がきびしくなったこともあって、
建築現場ではあからさまな危険というものが激減したんです。
結果として、災害による建設業の死亡者数は
どんどん減っていき、今や300人前後で推移してます。

昔からの危険度合いを知っていて、徐々に安全になってきた
過程をわかっているいるベテラン現場監督なら、
ここが危ない、あれが危険というのは肌感覚で染みついています
よね。

でも、入社したときから今の安全状況であったなら、
きびしい規制のもとで安全対策がなされた建築現場であるなら、
新人や若手の現場監督たちが、
「えーと、どこが危ないんでしょうか・・・?」
こういう思いになっても不思議なことではないんです。

むしろ、こういう感覚であるところから安全教育の
スタートになる
ということですね。

会社のトップみずから安全を伝える

程度の大小はあれど、頻繁に事故・災害が
起こっていた時代をしらない若手たち。

彼らに「どうしてその危険ポイントに気づかないんだ!」と
腹を立てても何も解決しません。
知らない、わからないという状態が彼らのスタートである
という前提で、あらためて安全意識を高めてもらう、
「危険感受性」を高めてもらうしかありません。

そのためにどうするか?ということですよね。
1つは、先輩・上司が具体的な例を示して
危険ポイントを丁寧に教えていく・・ということがあります。
まあこれは実務上の話です。

実はその上位として、
安全が現場管理では最重要という概念を
腑に落としてもらうというステップが必要なんです。
ではそれは誰が行うのがもっとも効果的なのか・・・。

それをやるのは会社のトップ、つまり経営者みずからです。
なぜ先輩ではなく経営者がわざわざやらないといけないのか?
それは、経営者のひとことですべてひっくり返ってしまうからです。

安全は重要というのはすぐに理解できます。
むずかしいのは、原価や工期などの問題をいかにクリアしていくか。

若手の目の前で、先輩が決めた安全上の判断、つまり安全とその他の要素の
バランス具合が、経営者のひとことでひっくり返ったら・・
もうその先輩の信頼度はほとんどゼロです。

そういうことをなくすために、
会社のトップが安全の重要度の基準を示しておかないといけないわけです。
会社それぞれ安全に対するウエイトのかけ方は違います。
若手が所属する会社としての考え方、判断基準をトップからボトムまで
ブレがないようにする

安全対策を怠って災害が発生したら、どれほどの損失が会社に発生するか、
その深刻度をリアルに伝えられるのは、会社の経営者しかいないんですね。
そのためには経営者がみずから発信する必要があるんです。

まとめ

あらたに建設業界に入ってきた新人・若手現場監督たち。
彼らが働く建築現場は、わかりやすい危険は減ってきています。
それは先輩たちが安全対策を行ってきた証(あかし)なんですが、
逆に危険に気づく「危険感受性」が低くなっているんです。

危険に気づかない、危険を想定できない、
そのことに腹をたてるのではなく、そういう現状をスタートとして、
あらためて安全の大切さを伝えないといけない。

その責をになうのは、会社のトップ、経営者です。
安全管理の不備で、事故・災害が起こったときの、
会社に与える影響を本気で伝えられるのは、やはり経営者なんです。

まず経営者が会社としての安全管理のスタンスを伝える
それを基本に実務的な指導を、若手の先輩や上司が行う。
それが新人・若手にスムーズに安全管理を教えるための
会社の基本システムとなるわけですね。

今回も読んでいただき、ありがとうございました。

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