こんにちは!
アーキラーニングの藤原です。
今日は、
研修担当者向けに
「新入社員の技術研修の目的」についてお話ししたいと思います。
新入社員の専門教育というと、
入社して2~3ヶ月もしくはそれ以上期間をとって専門技術の研修を行うことがありますよね。
私は現場監督についての研修を行っていますので、今回は建築施工管理の研修についての話です。
新入社員、中でも専門学校卒の社員についていうと、
学校で建築について教わってはきているんですけれども、
その知識は「なんとなくやったなあ」っていうぐらいのレベルです。
なので、そのまま現場に配属されると
「やること、覚えることがあまりにも多くて、理解が追いつかない!」
とキャパオーバーになってしまいます。
そこで、
「社内研修で専門技術を覚えてもらってから現場に出てもらおう」
ってことになるわけですけども、
ここで気をつけてほしいのは、
この研修の目的を「修得」にしてはいけないということです。
技術の修得が目的ではないということです。
じゃあ何を目的にするのかというと、
そのような技術があるということを「知る」こと、ですね。
これが目的になります。
![](https://archi-learning.com/wp-content/uploads/2023/03/371baeb53965c263ef75a9d8d3dfd668.jpg)
どういうことかというと、
例えば型枠工事だと型枠工事の流れって、
墨出しして、敷桟して、型枠立てて、鋼管や金物で締めつけて、水平垂直の精度を確保して
…という感じですよね。
これはほんとうに大まかな流れなので、
研修で「まず墨出しをして、型枠を立てるために敷桟をする、それから…」なんて言ったって
これで型枠工事についての知識を「修得」してもらえるかっていうと、
そういうわけじゃないですよね。
そんな簡単に現場管理の技術力が身につけば苦労はしないわけです。
実際にはその知識はほんの入り口であって、
「墨を出す時は精度何ミリ以内にする」とか
「精度を測るトランシットなどの測量機器の扱い方を覚える」とか
「機器をセットするときの注意点はなんだ」とか
「なぜ敷桟をするのか」とか
「型枠の損傷や異物付着はどの程度であれば使っていいのか、取り替えるのか」などなど…
そういう判断の基準なんかがわんさかあります。
だからって、それを一から十まで教えたって、
いっぺんに覚えきれないですよね。
![](https://archi-learning.com/wp-content/uploads/2023/03/6e7a9d460c473eac35ee1b392a72884d.jpg)
なのでまずは大きく
「型枠工事というのはこういう流れでやるんだよ」ということを教える。
そして、その中で何点かに絞って
「なぜこういうことをするのか?実はこういう理由で…」というように、
目的であるとか技術のちょっと深いところについて散りばめていくわけです。
実際に研修でできるのは、
「型枠工事の流れとしてはこういうことがあるんだ」
「その中で重要な項目はこういうことがあるんだ」
「こういうことを現場では見ていかないといけないんだ」っていう、
大まかな概要を知るところぐらいまでです。
でもそれがあれば、現場に出たときに
「いま職人さんがやっているのは研修でやってた建て込みだな」
「この後、鋼管で締め付けていくんだな。ちょっとじっくり見てみよう」というふうに、
どんな流れでやっているのかとか、
どれくらいの時間がかかるのかということを、
研修の内容と結びつけて実際の業務の中で肌で身に付けていけるわけですよね。
![](https://archi-learning.com/wp-content/uploads/2023/03/4bb92770e3fe841056c7696b0939c213.jpg)
そもそも研修なんていらないんじゃないかっていう話もあるかもしれません。
けれども、まったく研修しないで現場に出たらどうなるかというと、
ゼロからのスタートになってしまうので、
いきなり知らないことの洪水になっちゃうわけですよね。
そうすると頭が追いつかなくてキャパオーバーになって、
せっかくの「頑張ろう!」という気持ちが押しつぶされてしまいかねません。
大切な新入社員です。
彼らが現場に入った時に前向きな気持ちで業務に取り組めるよう、
技術研修の目標を「修得」ではなく
「工事の施工管理はこういうことから成り立っているんだよ」とか
「現場に出たらこんなことをさらに深く細かく覚えたり身につけたりする必要があるんだよ」といった
「現場業務への導入」としての教育とする。
もしくはそのように考えて組み立てた方がいいと思います。
2年目とか3年目の中堅社員の研修であれば、一通り現場の知識や経験があるので、
そこからの積み上げでより深く、より高度な内容の研修を組むことができると思うんですけれども、
新入社員に限って言えば、
まだ現場の業務にタッチしてない段階ですので、
ここで完全な修得を目的にするのではなくて、
「現場とはさまざまな工事の集合体」ということで
「それぞれの工事についての全体像を知ってもらう」ところから始めるのがいいと思います。
あとは研修の時間のボリュームによって
どこまで細かくやっていくかというのは変わってくると思いますが、
まずはそこを意識して研修を計画されるといいかと思います。
今回は「新入社員の技術研修は現場業務への導入と考えよう」という話でした。
最後までご覧いただきありがとうございます。
アーキラーニングは新人・若手現場監督を育成する事業を行っています。
次回も皆様のお役に立つ話をしたいと思います。
ご期待ください。ではまた!