新人・若手に「やる気」を強要してはいけない理由!

やる気

新入社員や新人の現場監督に、「やる気」や「はつらつさ」を求める。
これは当たり前の光景ですが、
実は大きなリスクがそこにあるんです。

こんにちは!
アーキラーニングの藤原です。

新人・若手現場監督を戦力化するための、
講座・研修を行っています。

今日は躯体工事の型枠工事、その中でも
【敷桟】という作業についてお話ししたいと思います。

目次

現場でよく見る光景

建築現場に新しく配属された新人現場監督。
不安を抱えながらも、新しい環境に少しでも早く
慣れていこうと頑張っています。

でも新入社員や新人っていろんなタイプの人間がいます。
元気はつらつが目に見えてわかる新人、
落ち着いた感じで、黙々とこなす新人、
あまり積極性がなく言われたことをやる新人
などなど 。
もしあなたが若手を指導する立場だとして、
あまり積極性がない新人を見たときに、
こんな声をかけていませんか?

「おい、もうちょっとやる気見せろよ!」とか、
「若いんだからもっとはつらつとやれよ!」とか、

先輩や上司からしたら他意はありませんよね。
昔自分が言われたことを、
ほぼ無意識にアドバイスのような感じで言ってるんです。

でも、
このひと言は大きなリスクを含んでいるんです。

「やる気を見せろ」のリスクとは?

何気ないひと言は、実は新人に大きな悪影響を与えています。
その悪影響によるリスクとは、

1.見えないやる気をなくしてしまう
2.反発心を生む
3.表面上だけやる気をよそおう


大きくはこの3つです。
それぞれについて、詳しく見ていきますね。

【見えないやる気をなくしてしまう】

まず一つ目の【見えないやる気をなくしてしまう】について。

ここでひとつ上司や先輩の方に質問です。
「表面に現れてくるわかりやすい言動だけで、
 やる気のある、なしを判断していませんか?」
例えば、
言われたらさっと動く、返事や話すときの声が大きい、姿勢がいいなど。

これらは一見やる気があるように見えます。
上司や先輩は、このわかりやすい目に見えることを、
無意識に(または意識的に)要求しています。

なぜなら、ホッとするから
部下の指導に問題がないと安心したいからです。
わかりやすい結果を「早く」欲しいんです。

だから「やる気を出せ!」と言って発破(はっぱ)をかけて
わかりやすいアクション(言動)をとらせようとするんですね。

ただ、上司や先輩がすべてこのようなわかりやすい結果だけを
求めていると言ってるわけではないんです。
大なり小なりこのような思いがあるということです。

では、言われた本人はどうでしょうか?
(今、どうやろうか考え中・・・)
(もともと地声は小さいので、大きな声をだすのはしんどい・・)
(集中すると、さらに猫背になっちゃう・・・)

まあいろいろ心の中で思ってます。
無視してるわけではないんですね。
ただ結果にたどり着くまでの考え方や動き方が、
先輩や上司の期待しているものと違うだけです。

本人なりのベストな方法を考えて、さあこれから
やっていくぞ、というときに
「やる気を出せ!」(つまり、目に見えるわかりやすい
言動で示せ)という要求をされたら、
(はぁ、なんだかなぁ)
(僕はこのやり方で一番効果がでるんだけど・・・)
となるわけです。

新人は主体的に動くつもりだったのに、
早く安心できる結果がほしいがゆえに、
上司や先輩は、余計な一言を発し、その主体性の芽を摘んでしまう、

つまり【見えないやる気をなくしてしまう
ことになってしまうんです。

【反発心を生む】

二つ目の【反発心を生む】についてですが、
ひとつ目の【見えないやる気をなくす】というのは、
簡単に言うと「意気消沈」するわけです。
つまり+(プラス)のものが、0(ゼロ)になってしまう
現象です。

それに対して、二つ目の【反発心を生む】というのは、
+(プラス)のものが0(ゼロ)を通り越して、
-(マイナス)に振れてしまう
んですね。

言ってることは理解できるけど
うまくそのとおりにできない。
なのに何度も何度も言われる。

するとどうなるか・・・
最初は言われた通りできないことを素直に受け止めて、
(スイマセンできなくて、自分が悪いんです)
という思いが生まれます。

そしてできないことに対して何度も言われると、
(わかってますよ、しつこく言わなくても)
言われるコトバにのみ反応するようになります。

そしてそのあとは、
(うるさいな、いい加減にしてくれよ)
言われるだけで腹立たしく感じてしまうようになります。

ここで上司や先輩は、
「いやいや、できないんだからできるまで
 指導するのが当たり前だろ」
となりますよね。

もちろんそれは正しいことです。
会社なので、利益に結びつく業務において、
最低限マスターしないといけないことはあります、

それができないなら、できるように指導するのは
当然のことです。

ここで問題なのは、
「やる気を出せ!」という声かけ(指導?)が、
何にフォーカスしているか(焦点をあてているか)です。

この「やる気を出せ!」という言葉は、業務の結果に
フォーカスしていません。
ズレているんです。

最初の方に言いましたが、
この「やる気を出せ!」という言葉は、
わかりやすい見た目にフォーカスしています。

もう少し言うと、新入社員や若手の、
性格や人格にフォーカスしているんです。

つまり人格否定にかなり近いことを
やってる
わけです。

目に見えるわかりやすい「やる気」の言動を強制して、
それができたからといって、それが結果に直接効果がある
わけじゃありません。

むしろ間接的に悪影響となっています。
「やる気を出せ!」という言葉は、
世間一般的に、安易に認められている
「やる気がある見栄え」に合わせようとしているだけです。

新入社員や若手たち本人からしたら、
(結果と関係ない自分の性格や人格を、安易に捻じ曲げるなよ)
と感じてしまうわけですね。

【表面上だけやる気をよそおう】

3つ目のリスク、【表面上だけやる気をよそおう】についてですが、
この状態は、上記の二つよりも深刻です。
現場においては、デメリットしかなく、さらにどんどん悪いほうへ
流れていきます。

表面的なやる気は意味がないのですが、それでも
ないよりはマシ、すこしはメリットがあるのでは?
と思うかもしれません。

きびきび動いて大きな声で返事をする。
現場に活気がでて明るくなる・・・
そんなイメージが湧きますよね。

これは、ほんとに会社に入りたてで、右も左もわからない
ようなまっさらな新入社員なら問題ないんです。

まずいのは、ある程度現場での役割や動き方がわかってきて、
自分で判断することが求められるようになった段階で、
このような【表面上だけやる気をよそおう】ことです。

簡単にいってしまえば、すべてがその場しのぎになります。
「やる気を出せ!」と言われたときだけ、
「はい!わかりました!がんばります!」と返す。

上司や先輩は、ほんとにわかってんのかな?と
苦笑いしつつも、前向きさを感じて安心するかもしれません。
でも実際は、前向きさのみじんもないんです。

新入社員や若手は、その場のプレッシャーを回避できればいい、
そのための安易な方法として、
【表面上だけやる気をよそおう】わけです。

もしこの状態が続けばどうなるのか?

この状態では、新入社員や若手と、上司や先輩の
信頼関係は成立していません
つまり、新入社員や若手は、上司や先輩のいうことを
真剣に受け取らなくなる恐れがあります。

そして積極的に関わろうとしなくなります。
その結果、正しいコミュニケーションが損なわれてしまう。
つまり、必要な業務上の指示や、フィードバックが
なされなくなっていくということです。

ということはどうなるのか?
現場の基本、SQDCに支障をきたすということですよね。
これが慢性化すれば良好な現場運営ができなくなるわけです。

まとめ

これまで『新人・若手にやる気を強要してはいけない理由』について、
3つのリスクに分けて話してきました。

極端なことを言ってるなぁと感じたかもしれません。
考えすぎだよと、軽く流してもらってもいいです。

ただ、ひとつ覚えておいてほしいのは、
表面的なわかりやすさだけにフォーカスするのは
危険
だということです。

その教育、指導、一言は、結果にフォーカスしているのか?
先輩、上司が気持ちよくなるために、
安心感を得るために、新人を動かしたいだけではないのか?

新入社員や若手の指導・教育において、
自分が教わってきたから、昔からこうだったから
というような、安易な考えで向き合うのではなくて、

相手相手ごとに、これでいいのか?
目に見えることだけに囚われていないか?
と、まずは考えてみることが大事だということですね。

今回も読んでいただき、ありがとうございました。

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